でん太くん

統計的な話題 バックナンバー

2018.05.31 | がん治療をのりこえるために③

がんの手術を安全に乗り越えるため、手術前に口のケア受けることの有用性も注目されています。がんに限らず、全身麻酔で手術を受ける患者さんは、人工呼吸器のチューブが口から喉を通して気管の中に挿入されます(気管内挿管といいます)。この際、気管のチューブを通して肺に入り込んだ口の細菌が、術後肺炎の原因となることがあります。

また、チューブを気管に入れる時に、歯を痛めてしまい抜けてしまうこともあり、手術後の食事開始の妨げになることもあります。手術を受ける前にあらかじめ口のケアを行うことで術後の肺炎を予防し、歯を守り、手術後の食事開始を助けることで、回復を早める手助けとします。

また口や喉のがん、食道のがんなどでは、手術前に口のケアを行い細菌を減らしておくことによって、手術後の傷の感染や肺炎などの合併症を減らすことができた、というがん治療の成果そのものへの貢献も証明されつつあります。

手術を行う前に口腔のケアを取り組みが、全国様々な施設で広がっています。

長く大変ながんの治療中は「食べる」ことが患者さんにとって、とても大変な作業になることがあります。健康な口でしっかり食べられることは、体力を維持し、つらい治療を乗り切るために、とても大事です。 そしてがん患者さんの口の健康状態は、口の副作用の発生や重症度に関連します。口を清潔で健康な状態に維持することは、がん治療のあらゆる段階で重要です。

是非がん治療開始の「前」に歯科を受診して、口の中を安定させてからがん治療に臨んでください(もっと言えば、がんになってからではなく、日頃からかかりつけ歯科をつくり、口の定期ケアを受けていただければと思います)。

そしてがん治療中に口の副作用が出た場合は、我慢をせずがんの主治医と相談して、歯科を受診してください。がん治療中だからと歯科を敬遠するのではなく、がん治療中だからこそ、歯科で口の中をしっかりと管理しなければなりません。がんの治療を安全に、苦痛少なく乗り越えるためには「口から自然な形で、おいしく食事が食べられること」が、大きな鍵の一つなのです。

歯のテーマパーク8020 がんの外科手術を乗り越えるための口の管理より引用

2018.04.26 | がん治療をのりこえるために②

がんの手術を安全に乗り越えるため、手術前に口のケア受けることの有用性も注目されています。がんに限らず、全身麻酔で手術を受ける患者さんは、人工呼吸器のチューブが口から喉を通して気管の中に挿入されます(気管内挿管といいます)。この際、気管のチューブを通して肺に入り込んだ口の細菌が、術後肺炎の原因となることがあります。

また、チューブを気管に入れる時に、歯を痛めてしまい抜けてしまうこともあり、手術後の食事開始の妨げになることもあります。手術を受ける前にあらかじめ口のケアを行うことで術後の肺炎を予防し、歯を守り、手術後の食事開始を助けることで、回復を早める手助けとします。

また口や喉のがん、食道のがんなどでは、手術前に口のケアを行い細菌を減らしておくことによって、手術後の傷の感染や肺炎などの合併症を減らすことができた、というがん治療の成果そのものへの貢献も証明されつつあります。

手術を行う前に口腔のケアを取り組みが、全国様々な施設で広がっています。がん治長く大変ながんの治療中は「食べる」ことが患者さんにとって、とても大変な作業になることがあります。健康な口でしっかり食べられることは、体力を維持し、つらい治療を乗り切るために、とても大事です。 そしてがん患者さんの口の健康状態は、口の副作用の発生や重症度に関連します。口を清潔で健康な状態に維持することは、がん治療のあらゆる段階で重要です。

是非がん治療開始の「前」に歯科を受診して、口の中を安定させてからがん治療に臨んでください(もっと言えば、がんになってからではなく、日頃からかかりつけ歯科をつくり、口の定期ケアを受けていただければと思います)。

そしてがん治療中に口の副作用が出た場合は、我慢をせずがんの主治医と相談して、歯科を受診してください。がん治療中だからと歯科を敬遠するのではなく、がん治療中だからこそ、歯科で口の中をしっかりと管理しなければなりません。がんの治療を安全に、苦痛少なく乗り越えるためには「口から自然な形で、おいしく食事が食べられること」が、大きな鍵の一つなのです。

歯のテーマパーク8020 がん治療の進歩と口の関係より引用

2018.03.28 | がん治療をのりこえるために①

抗がん剤の治療中には、薬の副作用によって様々な口の副作用が起きます。その頻度は高く、米国の国立がんセンターの報告では、一般的な抗がん剤治療を受ける患者さんの約40%、造血幹細胞移植治療のような強い抗がん剤治療を受ける患者さんの約80%に口に関係する何らかの副作用が現れると報告しています。

口内炎は、口腔内合併症の代表的なものです。がんの種類や抗がん剤の内容によって、その頻度や重症度の差はありますが、ほとんどの抗がん剤治療で口内炎が認められています。口内炎はふつう、抗がん剤投与から1週間から10日くらいで起こり、その後は自然に治っていくのですが、全身状態が悪かったり、口の清掃状態が悪く細菌が多いと、口内炎の傷から感染が起こり、症状が重症になったり治癒が遅れたりします。抗がん剤治療によって口内炎になった人の約50%が重症の口内炎のために、抗がん剤の投与量の減量や治療スケジュールの変更など、がん治療そのものに悪影響を受けています。

またほとんどの抗がん剤治療中は、骨髄抑制といって、細菌に対する体の免疫力が低下する副作用があります。がん治療中の吐き気やだるさなどで口の清掃が難しくなり口の細菌が増えることと重なると、口の感染症が非常に起こりやすくなります。また免疫力が低下した時の口の感染は、全身に広がってしまう危険もあります。

実際、むし歯や歯周炎などの歯の治療がされていない状態で抗がん剤の治療が始まってしまうと、今まで症状のなかった歯が急に悪化し、痛みや腫れが起こることがよくあります。また細菌の感染に限らず、カンジダ(真菌:カビの一種)やヘルペスウイルスなどの特別な感染症も起こりやすくなります。

まだ今の医療では、残念ながら副作用をゼロにするような画期的な治療法がありません。しかし、副作用のリスクを下げ、少しでも症状を和らげ、一日でも早く治す為には、口の中を清潔で整った環境にしておくといった、いわゆる「口のケア」が有効であることが様々な研究で報告されています。「がん治療の開始前、できれば2週間前までには歯科を受診しておくこと」「がん治療中も継続して口腔内を清潔で良好な環境に維持するよう努めること」がとても大事です。


テーマパーク8020より引用)

2018.02.22 | 歯と認知症の発症リスクについて

愛知県知多半島の65歳以上の住民を3~4年間追跡した研究において、 歯が多く残っている人や、歯が少なくても義歯等を入れている人では、 歯が少ない人また義歯を入れていない人と比較して、年齢、治療中の病気や生活習慣などの影響を取り除いても、 その後に認知症発症や転倒する危険性が低いということがわかってきています。

図4は、歯の状態や入れ歯の使用状態と認知症になっている人の割合を示しています。 これによると歯を失い、入れ歯を使用していない場合、 歯が20歯以上残っている人や歯がほとんどなくても入れ歯によりかみ合わせが回復している人と比較して、 認知症の発症リスクが最大1.9倍になるということを示しています。


テーマパーク8020より引用)

また、図5では、歯が19歯以下で入れ歯を使用していない人は、20歯以上保有している人と比較し、転倒するリスクが2.5倍になることが示されています。


テーマパーク8020より引用)

https://www.jda.or.jp/park/relation/teethlife.html

元気な高齢者でいるためには、、

保有する歯が19歯以下の人は、20歯以上の人と比較して1.2倍要介護認定を受けやすいという結果が出ています。 つまり要介護状態になる危険性も歯が多い人ほど少ないこともわかってきています。

兵庫県香美町の報告では、80歳全員の調査(平成23年)をしており、 8020を達成している80歳の方が平成4年からの20年間で約3倍になっていたそうです。

このような80歳の方々において、自家用車に乗っている割合や携帯電話を保有している割合は 8020達成者の方が高いという結果も出されています。

つまり元気な高齢者でいるには、できるだけ自分の歯を保有することが秘訣となりそうです。

しかし万が一、歯を失ってもしっかり入れ歯を使えば、あらゆる機能は維持されるので、 かかりつけ歯科診療所で相談しながら定期的なチェックが重要ということになります。

以上のように、歯の多い人ほどまたはすでに自分の歯を喪失しても入れ歯等で、口腔機能を回復できている高齢者は認知症になりにくく、 転倒も少ないという疫学結果がわかってきています。

歯が多く残っていることや、すでに喪失していても入れ歯等で口腔機能を維持することは要介護になりやすい疾患を予防し、 健康寿命を延伸する可能性があると思われます。
また最期まで自分の口から美味しいものを食べられるように、ぜひかかりつけの歯科医師にご相談ください。

https://www.jda.or.jp/park/relation/teethlife.html

8020って何?

8020運動は、平成元年より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。
20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言われています。
そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動が始まりました。
(日歯HPより引用)


この運動の成果は、厚労省が6年に一度実施している歯科疾患実態調査で確認できます(図7)。
この報告によりますと、すべての年齢層において年々保有する平均歯数は増加してきています。
現在、平均値で20本以上保有する年齢層は69歳までとなっています。70歳以降では自分の歯が20本を下回っている方が多いことがわかります。


先に述べた平均寿命は、女性では86.41歳、男性が79.94歳である日本において、歯の本数は長寿に追いついていない現状となっています。
一度歯を失うと補綴物と言って人工物で補い、機能が落ちないようにかかりつけ歯科診療所で定期的にチェックを受けることが必要となります。
また、自分の歯をできるだけ多く残すためにかかりつけ歯科診療所で定期的な管理を受けることは非常に重要と言えます。


https://www.jda.or.jp/park/relation/teethlife.html

歯の残存歯数と健康寿命

2017年7月の厚生労働省「2016年簡易生命表」によると、平均寿命が男性80.98年、女性87.14年とのことです。 直近の健康寿命としては、2013年時点のものが公表されており、男性が71.19年、女性が74.21年となっています。


平均寿命と健康寿命の差はできるだけ小さくしていきたいものです。
歯の喪失防止は,寿命の延長に貢献できるのでしょうか。


スウェーデンでの38 ~ 60 歳女性1,462 人を対象とした24 年間コホート調査では, 喪失歯数10 歯以下群に比べて11 歯以上群の死亡は,1.3 倍高いようで、 日本人施設入所者(平均年齢80 歳)1,929 人の6 年間のコホート調査では, 残存歯20 歯以上群に比べて0 歯(義歯なし)群の死亡は1.8倍高く、 日本の80 歳以上118 人を対象とした10 年間コホート調査では, 残存歯20 歯以上群に比べて,20 歯未満群では,死亡は男性では2.7 倍にもなるようです。


Fukai ら(2008 年)の40 ~ 89 歳の日本人地域住民5,688 人を対象とした15 年間コホート調査では, 機能歯10 歯未満群の義歯の有無による追跡結果が示され,義歯未装着群に比べて,義歯装着者は,死亡が女性で0.7 倍(HR:0.72, 95%CI:0.58-0.91)と明らかな効果が見られたそうです。


日本人の1975 年~ 2005 年までの30 年間の一人平均歯数(65 ~ 74 歳)と平均寿命の推移を見ると, 両者の相関係数で男女いずれも0.9 以上の強い相関を示していました。
これらの結果からみても,日本人の平均寿命の延びに,歯数の増加が寄与したことは否定できないようです。


歯の喪失防止が寿命延伸に貢献することが示されています。 また,歯を喪失しても義歯等の補綴によって生命予後は一定の改善が期待できると言う結果も出ています。
「歯が少ない人は多い人より死亡率が1.5倍から2.5倍高くなります。入れ歯を入れない人は入れている人より死亡率が1.4倍高くなります。」と覚えましょう。
歯科を受診し、歯をたくさん残し、失ったところには義歯を入れると、寿命が延伸することになるのです。


健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス2015

8020運動 50パーセント達成!

厚生労働省は2017年6月2日、歯科疾患実態調査(6年ごとに実施。次回からは5年に1回に)の2016年調査分の概要を発表しました。
それによると2016年時点で「80歳で自分の歯が20本以上ある人(8020達成者」)は推定で50.2%に達したことが分かりました。 これは前回調査2011年の推定値38.3%を大きく上回っています。


この調査によると2016年時点で自分の歯が20本以上残っている人(20本以上残っていれば、高齢者でも十分に硬いものを食せる、食生活をほぼ満喫できるとされている)は、 40代前半で98.8%、40代後半で99.0%。以後歳と共にその比率は減少していき、70代後半では56.1%、80代前半では44.2%となります。


歯を失う原因で最も多いのが歯周病です。 生活習慣病と言われるこの病気は、初期を含めると成人の80%以上がかかっています(厚生労働省平成17年歯科疾患実態調査)。
日頃の仕事の忙しさに任せて、”暴飲暴食”や”不規則な生活”など、日常の生活習慣の乱れが歯周病につながりますので、毎日のチェックが重要です。


個々の自覚が大事で、予防はやる気から始まります。 歯磨きなど毎日の手入れと併せて、口の中の衛生指導などを行っている歯科医院に定期的に通う習慣をつけてみてはいかがでしょうか。


https://www.jda.or.jp/enlightenment/8020/dream.html

歯をみがいて心臓を守ろう

栄養・運動・休養・飲酒・喫煙、歯みがき不良によるお口の状態の悪化など、日々の生活習慣が原因となって心臓の冠動脈疾患が発症します。


ヘルシンキ大学の研究グループは、大学病院で心筋梗塞の患者102 名と健常者100 名に対して過去のデータを調べる研究を実施しています。 その結果、心筋梗塞の患者は健常者と比較して有意にお口の中の状態が悪いことがわかりました。 調べた項目は、むし歯の有無、歯周病の有無、根尖(歯根の先端付近)病巣の有無、智歯(親知らず)周囲炎の有無です。 この結果から、口腔内状態と心筋梗塞発症に関連性があることを報告しています1)。


わが国では、東京大学の研究グループが、日本の金融保険系企業の職員31,894 名に対して健康に関するアンケート調査を行いました。 調査項目は、心筋梗塞・狭心症の有無、年齢、性別、BMI、喫煙、飲酒、高血圧、糖尿病、歯周病の有無、歯みがき回数です。 その結果、オッズ比1.51 で、歯周病と冠動脈疾患との間に関連性があることを報告しています2)。


心疾患を防ぐためには、歯周病やむし歯を予防する必要があることがわかります。


健康長寿に役立つエビデンス2016

1) 日本歯科医師会(編集委員長深井穫博):健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス2015, 日本歯科医師会,東京,2015.112-117
2) Senba T, Kobayashi Y, Inoue K, et al. The association between self-reported periodontitis and coronary heartdisease―from MY Health Up Study―. J Occup Health 2008; 50: 283-287.

口腔ケアは脳卒中のリスクを軽減する

脳血管疾患は日本人における要介護状態を引き起こす原因としては第1位となっています。
手足のみならず口や顔の領域にも運動障害を引き起こし、ひいては口腔内環境の悪化を招きます。 また、後遺症により飲み込み機能の障害を来せば二次的に肺炎を発症し、死に至る可能性も考えられます。


男性において、自身の歯の数が24 本未満の人は25 本以上の人と比べて 虚血性脳卒中(いわゆる脳梗塞)のリスクが1.57 倍になるという研究結果があります1)。
次に、脳卒中で入院した患者と脳卒中以外の入院患者、健常者の3 グループで歯周病検査を行ったところ、 脳卒中で入院した患者の歯周ポケットの深さが深く、歯周病がより重度であったとの報告もあります。 さらに男性である、または60 歳以下という条件を加えると、重度歯周病は脳卒中のリスクファクターとしてはたらくとのことです2)。


最後に紹介する研究では、歯周ポケットのみならず、 歯を支える骨の減少の度合いが脳卒中の発症に関連があるとしています。 また、この研究でも特に65歳以下の男性で関連性が強いと述べています3)。

高齢期になるよりも前から歯周病にかからないように、 歯を失わないように努めることが、脳卒中から命を守ることにつながるかもしれません。


健康長寿に役立つエビデンス2016

1) Joshipura KJ, Hung HC, Rimm EB, et al. Periodontal disease, tooth loss, and incidence of ischemic stroke. Stroke 2003;34:47-52.
2) Grau AJ, Becher H, Ziegler CM, et al. Periodontal disease as a risk factor for ischemic stroke. Stroke 2004;35:496-501.
3) Jimenez M, Krall EA, Garcia RI, et al. Periodontitis and incidence of cerebrovascular disease in men. Ann Neurol 2009;66:505–512.

口腔ケアが、がん治療の質を高める

がんの外科手術の前後に口腔ケアを行うことによって、術後肺炎のリスク軽減、気管挿管時のリスク軽減(歯の破折、脱落など)、 口腔咽頭、食道手術における術後合併症のリスク軽減が期待できます。


・外科病棟に入院した患者3,319 人を対象とした研究では、 手術の前に術後肺炎予防プログラム(呼吸器リハビリ+ 口腔ケア)を実施することにより、術後肺炎の発症頻度を1/4 に減少させました 1)。
・頭頸部進行がん手術の患者を対象にした、術前からの口腔ケア施行群56 人と口腔ケア非施行群 35 人の術後合併症についての介入比較研究では、口腔ケア介入が術後合併症の発症のリスクを 1/7 に下げました 2)。


予想される口腔合併症のリスクを考慮した口腔ケアを治療開始前から行うことで、 がん治療中の感染管理、経口摂取支援、疼痛緩和を図り、療養生活の苦痛が少なくなるよう援助して、 がん治療の完遂を支援することで治療予後にも貢献します。


【文献】
1) Wren SM, Martin M, Yoon JK, et al.: Postoperative pneumonia-prevention program for the inpatient surgical ward. J Am Coll Surg 2010; 210: 491-495.
2) 大田洋二郎. がん患者における口腔内合併症の実態調査と予防方法の確立に関する研究. 厚生労働省がん研究助成金による研究報告集.2004
3) 健康長寿に役立つエビデンス2016

歯周病治療で血糖コントロールの改善を!

糖尿病と歯周病はお互いに悪影響を及ぼす関連がわかってきています。 スケーリング・ルートプレーニング(歯周ポケット内の歯石やプラークを除去する事)をお口の中の歯周ポケット全てに行うことで 血糖コントロールが改善することが明らかになってきました。

日本を含め世界各国で臨床研究が行われ、歯周病に罹っている糖尿病患者さんに対してブラッシング指導とスケーリング・ルートプレーニングを行ったところ、 2 型糖尿病患者を対象とした多くの研究で血糖コントロールの指標であるヘモグロビンA1c(HbA1c)が低下することが示されました。 このとき、インスリン抵抗性の指標も同時に下がっていることも複数の研究で報告されています。 これらの研究データをまとめて統計学的に解析したところ、HbA1c は歯周病の治療によって、それぞれ0.66% 1)、0.46%2)、0.40%3)減少することが示されました。

このデータは、糖尿病と歯周病はお互いに影響を与えているものの、適切な歯周病の治療により血糖コントロールが改善できることを示しており、 内科医と歯科医師の連携が糖尿病の予防や改善に寄与するアプローチであることを示しています。

【文献】
1) Janket SJ, Wightman A, Baird AE, et al. Does periodontal treatment improve glycemic control in diabetic patients? A meta-analysis of intervention studies. J Dent Res 2005;84:1154-1159
2) Teeuw WJ, Gerdes VE, Loos BG. Effect of periodontal treatment on glycemic control of diabetic patients: A systematic review and meta-analysis. Diabetes Care 2010;33:421-427
3) Simpson TC, Needleman I, Wild SH, et al. Treatment of periodontal disease for glycaemic control in people with diabetes. Cochrane Database Syst Rev 2010:CD004714
4)健康長寿に役立つエビデンス2016

歯・口の健康増進

生涯にわたって何でも食べることに苦労しないためには、むし歯や歯周病で歯を失わないことが大切です。 8020 運動(80歳で20 本以上の歯を保つ)は、そのための国民運動として1989 年にスタートしましたが、現在ではこの8020 を達成している人は40%を超え、運動開始時の6倍となっています。

歯の数が十分あれば、歯を多く失った人より、生存率が1.1 倍~ 2.7 倍高まります。日本人の平均寿命の延びに、歯・口の健康が改善してきたことが要因のひとつになっていることは否定できません。 さらに、この歯の数は、要介護状態に陥るかどうかにも関係しています。65 歳以上を対象とした追跡調査で、歯数が19 歯以下の高齢者は、20 歯以上に比べて要介護状態になるリスクが、1.2倍と報告されています。 また、成人を対象とした追跡調査で、歯周病が進んでいる人は、肥満、高血圧、脂質異常等のメタボリックシンドロームの発症が、1.6 倍高まることが知られています。

健康寿命の延伸には、歯を失わないように歯・口の健康を保持することが基本的な要素となっているというエビデンスを基に、 生活習慣病を予防し、歯・口の健康増進に一層取り組むことが必要です。

健康長寿に役立つエビデンス2016

認知症予防に口腔ケア

認知機能の低下に特定のタイプの虫歯菌が関係している可能性が高いとの研究成果を、京都府立医大の渡辺功助教らのチームが発表しました。それによると歯磨きなどの口腔ケアが認知症予防につながるというのです。
認知機能の低下は、脳内の微少な出血が一因であることが知られています。
この出血は、虫歯菌「ミュータンス菌」の一種を保菌する人に多いというのです。
血小板の止血作用を低下させる遺伝子を持ち、脳の血管の壁にくっついて炎症を起こすのだそうです。
研究対象者279人においてある種のミュータンス菌保菌者は非保菌者に対して14.3倍の脳内微小出血発症という高いリスクを示す結果となり、ミュータンス菌と脳内微小出血の関連は非常に強いものと考えられています。

歯磨きが心臓を守る?

書店で一番売れているビジネス週刊誌、週刊ダイヤモンド(2016.4.23)によるとお口の健康を守ることは心臓を守ることにもつながるようです。

日本の研究者らは日々の歯磨き習慣について「毎食後」「少なくとも1日1回」「1日1回未満」との回答に基づいて対象者を3群に分け、 高血圧症や糖尿病、脂質異常症など心疾患リスクになる全身病との関連を調べました。

その結果、歯磨きの習慣が「1日1回未満」群は、「毎食後」群よりも糖尿病の有病率が2.03倍高く、 脂質異常症の有病率が1.5倍高いことが判明したのです。

また改めて生活習慣と歯磨き習慣との関連を調べたところ、「毎食後」群に比べ、「少なくとも1日1回」「1日1回未満」群では、 喫煙率や飲酒率が高く、BMIとメタボ健診で計測される腹囲径がより大きいことが判明しています。

研究者は「良い歯磨き習慣は、お口の健康だけでなく、糖尿病や脂質異常症といった全身性の疾患の予防に有用」と断言しています。

歯磨きは病気の予防にもなるのです。歯磨き習慣を見直すのはどうでしょうか?

http://diamond.jp/articles/-/89952

歯医者にかかると医療費が下げられる?(3)

子供の虫歯について。乳歯の虫歯は永久歯の虫歯と関係があるのでしょうか? 3歳で乳歯が9本以上むし歯のある子を追跡してみると、10年後には永久歯のむし歯の平均は約7本。一方乳歯でむし歯のない子は約3本となっていました。乳歯のむし歯が多いと、永久歯のむし歯が約2倍のスピードで増え続けることになります。やはり乳歯のむし歯が多いと、永久歯でも多くなるのです。
治療が終わっても、定期的に歯のチェックに通いましょう。永久歯は、次から次に萌えて来るので、それに応じた歯の磨き方も必要です。また萌えた直後の歯は、軟らかいのでむし歯になりやすい。フッ素を塗ることで、歯を硬くし、むし歯にならない丈夫な歯を作るのです。
乳歯でむし歯が多く、永久歯7本がむし歯に侵されていたはずの子ども達。きちんと歯医者にかかった10年後は、平均1.5本にとどまっていました。
歯医者で定期検診を行なうことは、これほど効果があるのです。そのためにも"かかりつけ医"を作ることが重要なのです。

乳歯こそ親の歯(歯の健康と美容に関する総合情報サイト 歯のページより)

リタイヤ前にやるべきだった…

市販で最も売れているビジネス総合誌である雑誌プレジデントの2012年11月号において、55~74歳の男女1000人のアンケート結果「後悔していることトップ20」が発表されました。健康について後悔していることの第1位は、「歯の定期検診を受ければよかった」。50代、60代から歯で悩む方がいかに多いかという事でしょうか。ちなみに2位はスポーツなどで体を鍛えておけばよかった。3位は日ごろからよく歩けばよかったでした。若いうちからはの定期検診を受けましょう。

「リタイア前にやるべきだった……」後悔トップ20【2】健康(プレジデントオンラインより)

歯医者にかかると医療費が下げられる?(2)

香川県歯科医師会の調査によると、平成25年の結果では、定期的な歯科健診を受けている人ほど、受けていない人に比べて年間医療費が約10万円少なくなること、また40歳以上の人では歯の本数が20本以上あった人に比べ、0~4本の人の年間医療費は約190,000円高かったことが示されています。
歯の本数が少ない人では、糖尿病、がん、肺炎などの病気も多いようです。これらの結果だけでは、お口と全身の健康の因果関係は分かりませんが、歯のそろっている人ほど医療費も少なく、お元気なようです。歯科の受診が健康長寿に影響しているのではないでしょうか。

歯の残存本数と医療費の関係(高松市歯科医師会HPより)

歯医者にかかると医療費が下げられる?(1)

平成26年、デンソー健康保険組合の行った調査では、歯周疾患のある集団とない集団の2群間で歯科医科医療費比較分析しています。歯周疾患のある集団は、ない集団と比較して医科医療費が高く、年齢があがるほどその差は大きくなることが判明しました。
継続的に歯科健診を実施している集団としていない集団の2群間で歯科医科医療費比較分析したところ、継続的に歯科健診を実施している集団においては医療費が減少、もしくは横ばいとなり、歯科医療の重要性が確認できます。歯周疾患を予防することができれば、歯科だけでなく医科医療費を抑制することができる可能性があるとしています。

デンソー健康保険組合でのデータ活用事例(厚生労働省HPより)