80は“ハチ・マル”と読み、80歳という年齢を表し、20は“ニイ・マル”と読み、残っている 自分の歯の数を表す。
「8020」疫学調査データに見る. 口腔と全身の健康との関係. 80 歳で自分の歯が20本ある人は自立度が高いといわれています。
8020の示す20とは、「何でもおいしく食べられる」ために最低限必要な歯数であり、これには残存歯数が20本を下回ると咀嚼能力が著しく低下します。
残存歯数が20本を下回るとナッツ類、ステーキといった比較的硬い食品群がかめなくなり、 歯数が半数以下になるとはんぺんや米飯といった比較的軟らかい食品までかめなくなる傾向にあるという報告があります。
これは20本以上の歯を残すことで、咀嚼機能を維持できることを示しています。
また残存歯数20本未満の群は、20本以上の群に比べ「やせている人」の割合が有意に高かったという報告もあり、 咀嚼能力の低下が適切な栄養摂取の障害になっている可能性が示唆されます。
歯と全身の関係
むし歯や歯周病の歯は全身の状態が治療可能ならば治療する必要があります。
理由は歯が原因で口から離れた体の他の臓器に感染を起こす事があるからです。
これを歯性病巣感染と言います。
歯性病巣感染とは
慢性炎症(一次病巣)の毒素、細菌がアレルギー源となって、そこから遠く離れた臓器に二次的に病気を起こすことを言います。
一次病巣は、慢性の歯根の炎症・歯周病・扁桃炎・中耳炎・副鼻腔炎が多く、 遠隔臓器に二次病変は、慢性腎炎・慢性関節リウマチ・リウマチ性心筋障害等の膠原病アレルギー性皮膚疾患が代表的です。
二次病変は一次病変と症状も異なり、菌も証明されません。
そのため、歯性病巣感染の存在は必ずしも決定的ではありません。
しかし、上記のような二次病変を持っている人が、歯科で原因と考えられる、 歯根の炎症や歯周病の治療を徹底的に行った結果、二次病変が軽くなったり、治癒する事が経験されています。
歯の炎症が原因となって、全身的な感染症になってしまう場合があります。
一つは敗血症で、これは歯や口の感染病巣から菌が血管内に入って、遠く離れた心臓・脳・肝臓に転移性に化膿巣を形成します。
この場合は歯性病巣感染と異なり、原因の歯や口の炎症は重症で抵抗力が減退した状態で発症します。
もうひとつは、感染性心内膜炎です。
一般に歯を抜いたり歯石除去をすると、高い頻度で血管内に菌が入ります(菌血症)が、これは健康な人では一過性で心配ありません。 菌は血中からすぐに消失します。
しかし、心臓弁膜症や人工弁膜の人では菌血症から感染性心内膜炎の発症や増悪を招く事があります。