がんの外科手術の前後に口腔ケアを行うことによって、術後肺炎のリスク軽減、気管挿管時のリスク軽減(歯の破折、脱落など)、 口腔咽頭、食道手術における術後合併症のリスク軽減が期待できます。
・外科病棟に入院した患者3,319 人を対象とした研究では、 手術の前に術後肺炎予防プログラム(呼吸器リハビリ+ 口腔ケア)を実施することにより、術後肺炎の発症頻度を1/4 に減少させました 1)。
・頭頸部進行がん手術の患者を対象にした、術前からの口腔ケア施行群56 人と口腔ケア非施行群 35 人の術後合併症についての介入比較研究では、口腔ケア介入が術後合併症の発症のリスクを 1/7 に下げました 2)。
予想される口腔合併症のリスクを考慮した口腔ケアを治療開始前から行うことで、 がん治療中の感染管理、経口摂取支援、疼痛緩和を図り、療養生活の苦痛が少なくなるよう援助して、 がん治療の完遂を支援することで治療予後にも貢献します。
【文献】
1) Wren SM, Martin M, Yoon JK, et al.: Postoperative pneumonia-prevention program for the inpatient surgical ward. J Am Coll Surg 2010; 210: 491-495.
2) 大田洋二郎. がん患者における口腔内合併症の実態調査と予防方法の確立に関する研究. 厚生労働省がん研究助成金による研究報告集.2004
3) 健康長寿に役立つエビデンス2016