栄養・運動・休養・飲酒・喫煙、歯みがき不良によるお口の状態の悪化など、日々の生活習慣が原因となって心臓の冠動脈疾患が発症します。
ヘルシンキ大学の研究グループは、大学病院で心筋梗塞の患者102 名と健常者100 名に対して過去のデータを調べる研究を実施しています。 その結果、心筋梗塞の患者は健常者と比較して有意にお口の中の状態が悪いことがわかりました。 調べた項目は、むし歯の有無、歯周病の有無、根尖(歯根の先端付近)病巣の有無、智歯(親知らず)周囲炎の有無です。 この結果から、口腔内状態と心筋梗塞発症に関連性があることを報告しています1)。
わが国では、東京大学の研究グループが、日本の金融保険系企業の職員31,894 名に対して健康に関するアンケート調査を行いました。 調査項目は、心筋梗塞・狭心症の有無、年齢、性別、BMI、喫煙、飲酒、高血圧、糖尿病、歯周病の有無、歯みがき回数です。 その結果、オッズ比1.51 で、歯周病と冠動脈疾患との間に関連性があることを報告しています2)。
心疾患を防ぐためには、歯周病やむし歯を予防する必要があることがわかります。
1) 日本歯科医師会(編集委員長深井穫博):健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス2015, 日本歯科医師会,東京,2015.112-117
2) Senba T, Kobayashi Y, Inoue K, et al. The association between self-reported periodontitis and coronary heartdisease―from MY Health Up Study―. J Occup Health 2008; 50: 283-287.