糖尿病と歯周病はお互いに悪影響を及ぼす関連がわかってきています。 スケーリング・ルートプレーニング(歯周ポケット内の歯石やプラークを除去する事)をお口の中の歯周ポケット全てに行うことで 血糖コントロールが改善することが明らかになってきました。
日本を含め世界各国で臨床研究が行われ、歯周病に罹っている糖尿病患者さんに対してブラッシング指導とスケーリング・ルートプレーニングを行ったところ、 2 型糖尿病患者を対象とした多くの研究で血糖コントロールの指標であるヘモグロビンA1c(HbA1c)が低下することが示されました。 このとき、インスリン抵抗性の指標も同時に下がっていることも複数の研究で報告されています。 これらの研究データをまとめて統計学的に解析したところ、HbA1c は歯周病の治療によって、それぞれ0.66% 1)、0.46%2)、0.40%3)減少することが示されました。
このデータは、糖尿病と歯周病はお互いに影響を与えているものの、適切な歯周病の治療により血糖コントロールが改善できることを示しており、 内科医と歯科医師の連携が糖尿病の予防や改善に寄与するアプローチであることを示しています。
【文献】
1) Janket SJ, Wightman A, Baird AE, et al. Does periodontal treatment improve glycemic control in diabetic patients? A meta-analysis of intervention studies. J Dent Res 2005;84:1154-1159
2) Teeuw WJ, Gerdes VE, Loos BG. Effect of periodontal treatment on glycemic control of diabetic patients: A systematic review and meta-analysis. Diabetes Care 2010;33:421-427
3) Simpson TC, Needleman I, Wild SH, et al. Treatment of periodontal disease for glycaemic control in people with diabetes. Cochrane Database Syst Rev 2010:CD004714
4)健康長寿に役立つエビデンス2016