フッ化物の応用
むし歯予防のためのフッ素利用についてはよく聞かれると思います。
保健所で幼児がフッ素を塗ってもらう、地域によっては保育園や幼稚園、小中学校におけるフッ素洗口をしている、 諸外国では水道水へのフッ化物添加、身近には歯磨剤のほとんどにフッ素が含まれているなど、現在では広くむし歯予防に使用されています。
フッ素とはどういうものなのでしょうか。
非常にありふれた元素であり地表上の0.03%がフッ素と言われています。
あらゆる土壌、湖沼、川の水、海水に存在し、動植物にも多く取り込まれ、すべての食品に含まれており、からだ特に歯や骨を作る石灰化に欠かせない物質です。
有用なフッ素ではありますが、斑状歯になどに代表される慢性中毒や吐き気、発汗、腹痛といった急性症状を生ずることがあります。
これらは飲料水に過剰のフッ化物が含まれていたり、フッ化物製剤の誤用や大量摂取(フッ化物錠剤が多い。日本では未発売)などによるもので、 通常の使用でおこるものではありません。
効能としてフッ化物は歯面に作用することで、虫歯菌(ミュータンス菌)の作る酸に対し抵抗性の向上、 ごく初期の虫歯である白濁(ホワイトスポット)の再石灰化、歯垢中の細菌活動の妨害などが知られています。
フッ化物の利用開始はいつ行えばいいのでしょうか。
歯は萌出間もない時期がむし歯になりやすく、1歳の誕生日から中学生位までが最もむし歯になりやすい時期です。
しかし、この時期は反応性が高く歯のエナメル質にフッ化物が取り込まれやすいという時期でもあります。
フッ化物の塗布は歯が生えて間もない10ヶ月から1歳頃が開始の目安で、 永久歯列が完成する中学生時代まで続けることが効果的な利用法です。
またフッ化物はすでにむし歯に罹った歯に対してもその進行を抑制する働きもあります。
フッ化物を利用の虫歯予防法はどのような方法があるでしょうか。
大きく分けて家庭でできる方法と保健センターや学校、歯科医院で行うなどの方法があります。
家庭でできる方法
スプレー法
1歳から使用できる。フッ化物のスプレーを幼歯に吹き付ける。飲み込んでも問題はない。
フッ素濃度100ppm 商品名 レノビーゴ
洗口剤
3~4歳頃から使用できる。吐き出しができること。
フッ素濃度250ppm~350ppm 商品名 洗口剤はオラリス、ミラノールなど
歯磨き剤
多く市販されています。
フッ素濃度 950ppm
保健センター・学校でのフッ化物利用法
フッ化物入りの洗口剤でうがいをし、吐き出すことが出来ること。
毎日法と週1回法があり毎日法の対象者は幼稚園児や保育園児でフッ素濃度は225ppm、週1回法は小学生以上の年齢に向いておりフッ素濃度は900ppmです。
歯科医院(保健センター)で行う
歯科医師、歯科衛生士によりフッ化物を塗布する。
年齢、口内の状況により3ヶ月、6ヶ月ごとに、定期的に歯面塗布する。フッ素濃度9000ppm
生涯に渡ってフッ化物を上手く利用すればむし歯は効果的に予防することができ“一生自分の歯で食べる”と言う目標に大きく貢献します。