2017年7月の厚生労働省「2016年簡易生命表」によると、平均寿命が男性80.98年、女性87.14年とのことです。 直近の健康寿命としては、2013年時点のものが公表されており、男性が71.19年、女性が74.21年となっています。
平均寿命と健康寿命の差はできるだけ小さくしていきたいものです。
歯の喪失防止は,寿命の延長に貢献できるのでしょうか。
スウェーデンでの38 ~ 60 歳女性1,462 人を対象とした24 年間コホート調査では, 喪失歯数10 歯以下群に比べて11 歯以上群の死亡は,1.3 倍高いようで、 日本人施設入所者(平均年齢80 歳)1,929 人の6 年間のコホート調査では, 残存歯20 歯以上群に比べて0 歯(義歯なし)群の死亡は1.8倍高く、 日本の80 歳以上118 人を対象とした10 年間コホート調査では, 残存歯20 歯以上群に比べて,20 歯未満群では,死亡は男性では2.7 倍にもなるようです。
Fukai ら(2008 年)の40 ~ 89 歳の日本人地域住民5,688 人を対象とした15 年間コホート調査では, 機能歯10 歯未満群の義歯の有無による追跡結果が示され,義歯未装着群に比べて,義歯装着者は,死亡が女性で0.7 倍(HR:0.72, 95%CI:0.58-0.91)と明らかな効果が見られたそうです。
日本人の1975 年~ 2005 年までの30 年間の一人平均歯数(65 ~ 74 歳)と平均寿命の推移を見ると, 両者の相関係数で男女いずれも0.9 以上の強い相関を示していました。
これらの結果からみても,日本人の平均寿命の延びに,歯数の増加が寄与したことは否定できないようです。
歯の喪失防止が寿命延伸に貢献することが示されています。 また,歯を喪失しても義歯等の補綴によって生命予後は一定の改善が期待できると言う結果も出ています。
「歯が少ない人は多い人より死亡率が1.5倍から2.5倍高くなります。入れ歯を入れない人は入れている人より死亡率が1.4倍高くなります。」と覚えましょう。
歯科を受診し、歯をたくさん残し、失ったところには義歯を入れると、寿命が延伸することになるのです。