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がん治療をのりこえるために②

口や喉のがんで、放射線が口の周辺にあたる治療を行う場合は、ほぼ全員に口の中に何らかの副作用が現れます。口の副作用がひどくなると、治療を続けることができなくなってしまうこともあります。放射線治療は途中で止めてしまったりお休みをしたりすると、治療の効果が弱まってしまうことが知られています。そのため治療が最後まで予定通りに順調に進むように、口のケアによってできるだけ副作用を抑えていく必要があります。

放射線の口腔の副作用で最も重大なものは口内炎です。抗がん剤治療による口内炎と比べて重症で長引く傾向があります。放射線治療が始まり1~2週間くらいで口の粘膜はだんだんと赤み帯びて、腫れぼったくなり、ひりひりとした軽い痛みを感じるようになります。
その後治療が進むにつれて粘膜炎は強くなり、強い痛みが続き、重症の場合は水を飲むことも辛くなります。放射線治療が終わると通常は3~4週間ぐらいかけて少しづつ粘膜は元に戻ってきます。しかしその途中で傷に感染を起こしたりすると、治りが遅くなることもあります。放射線による口内炎は、治療を最後までやり遂げることを邪魔する、大きな合併症です。口のケアによって症状を緩和し、二次的な感染のリスクを抑えます。

また放射線によって唾液の量は減り、ネバネバになります。この影響は年単位で長く続き、完全には回復しません。唾液が少ないと、口の中がガサガサと不快になり、食事の味も感じづらくなります。
また汚れがこびりつき、口の細菌が増えやすくなるため、感染を起こしやすくなり、非常にむし歯ができやすくなります。そのため放射線の治療が終わったあと、急にむし歯だらけになってしまう(放射線性う蝕と言います)ということもあります。

そして最も重症な副作用が、放射線による顎骨の壊死(顎の骨が腐る)です。放射線が当たった顎の骨は、ちょっとしたことがきっかけで感染を起こし、壊死を起こすことがあります。
最も多いきっかけは抜歯です。放射線治療が終わって何年か経過すれば安全に抜歯できるだろう、と思われがちなのですが、実際は放射線治療後何年経っても、顎骨壊死の危険性はほとんど変わらない、と言われています。放射線治療が終わった後も、抜歯をしなくて済むように定期的に歯科で口のチェックやケアを受け続ける必要があります。

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