コラム:口腔と全身の関係

唾液ってなに?

子どものころ、ちょっとしたケガには「ツバをつけておけば治る」と言われたことがある方も多いのではないでしょうか。気休めのような話ですが、案外的外れとも言い切れないかもしれません。 実は唾液には複数の働きがあり、口腔環境だけではなく、全身の健康に欠かせない重要な要素であることは知られてきましたが、そもそも唾液とはどんなものでしょうか?

歯周病と糖尿病

日本人の5人に1人が糖尿病? 加古川市はHbA1cの有所見者割合が兵庫県内でワースト1※! 糖尿病ってどんな病気?…

オーラルフレイル

オーラルフレイルってご存知ですか? ”昔から人は足から老いる”と耳にします。階段の上り下りがきつく感じて老いを感じる方も多いと思いますが、最近では”人は口から老いる”と言われ始めています。 これは近年注目され始めた「オーラルフレイル」という新しい概念です。…

禁煙がもたらすもの①

「タバコは害だ」「タバコは身体に良くない」ということは、誰でも知っていますし、喫煙者も含めて、誰もが知っているはずだと思っています。しかし、本当のことを理解する必要があります。タバコの煙の中には、約4,000種類の化学物質が含まれ、そのうちの約200種類が有害物質で、発がん物質が約70種類と言われていています。さらに、タバコは、喫煙者だけの問題ではなく、タバコから吸い込んだ主流煙を喫煙者が吐き出す呼出煙と副流煙からなる受動喫煙(secondhand smoke)により不特定多数の健康までにも悪影響を与える点、さらに、「タバコを消した後にも残っているタバコ煙による汚染、 残留タバコ成分による健康被害、三次喫煙(thirdhand…

禁煙がもたらすもの②

喫煙直後、ニコチンの血管収縮作用により歯肉上皮下毛細血管網の血流量の減少、ヘモグロビン量及び酸素飽和度の低下を起こします。そして、長期間の喫煙につれて、逆に、炎症を起こした歯肉出血の減少をきたしてきます。 そのため、臨床的には、歯周ポケット(歯と歯肉の隙間)が深く進行した歯周炎であっても、歯周ポケットを検査した際の出血(プロービング時の歯肉出血、BOP)が少なく、歯肉のメラニン色素沈着(歯肉の赤黒い着色)もあり、歯肉の炎症症状が分かりにくくなっています。 歯周病喫煙患者において歯肉出血が少ないことは、疾患の発症や進行の自覚を遅らせることになります。さらに、ニコチンは線維芽細胞の増殖抑制、付着障害、コラーゲン産生能の低下に作用することから、臨床的には、歯肉は線維性の(硬い)深い歯周ポケットが形成され、進行していくことになります。…

禁煙がもたらすもの③

(1) 禁煙による歯周組織への影響禁煙による歯周組織への影響については、以下の報告があります。歯周炎ではない喫煙者16名(男性、25.3 ±…

がん治療をのりこえるために①

抗がん剤の治療中には、薬の副作用によって様々な口の副作用が起きます。その頻度は高く、米国の国立がんセンターの報告では、一般的な抗がん剤治療を受ける患者さんの約40%、造血幹細胞移植治療のような強い抗がん剤治療を受ける患者さんの約80%に口に関係する何らかの副作用が現れると報告しています。 口内炎は、口腔内合併症の代表的なものです。がんの種類や抗がん剤の内容によって、その頻度や重症度の差はありますが、ほとんどの抗がん剤治療で口内炎が認められています。口内炎はふつう、抗がん剤投与から1週間から10日くらいで起こり、その後は自然に治っていくのですが、全身状態が悪かったり、口の清掃状態が悪く細菌が多いと、口内炎の傷から感染が起こり、症状が重症になったり治癒が遅れたりします。抗がん剤治療によって口内炎になった人の約50%が重症の口内炎のために、抗がん剤の投与量の減量や治療スケジュールの変更など、がん治療そのものに悪影響を受けています。 またほとんどの抗がん剤治療中は、骨髄抑制といって、細菌に対する体の免疫力が低下する副作用があります。がん治療中の吐き気やだるさなどで口の清掃が難しくなり口の細菌が増えることと重なると、口の感染症が非常に起こりやすくなります。また免疫力が低下した時の口の感染は、全身に広がってしまう危険もあります。 実際、むし歯や歯周炎などの歯の治療がされていない状態で抗がん剤の治療が始まってしまうと、今まで症状のなかった歯が急に悪化し、痛みや腫れが起こることがよくあります。また細菌の感染に限らず、カンジダ(真菌:カビの一種)やヘルペスウイルスなどの特別な感染症も起こりやすくなります。 まだ今の医療では、残念ながら副作用をゼロにするような画期的な治療法がありません。しかし、副作用のリスクを下げ、少しでも症状を和らげ、一日でも早く治す為には、口の中を清潔で整った環境にしておくといった、いわゆる「口のケア」が有効であることが様々な研究で報告されています。「がん治療の開始前、できれば2週間前までには歯科を受診しておくこと」「がん治療中も継続して口腔内を清潔で良好な環境に維持するよう努めること」がとても大事です。 (テーマパーク8020より引用)

がん治療をのりこえるために②

口や喉のがんで、放射線が口の周辺にあたる治療を行う場合は、ほぼ全員に口の中に何らかの副作用が現れます。口の副作用がひどくなると、治療を続けることができなくなってしまうこともあります。放射線治療は途中で止めてしまったりお休みをしたりすると、治療の効果が弱まってしまうことが知られています。そのため治療が最後まで予定通りに順調に進むように、口のケアによってできるだけ副作用を抑えていく必要があります。 放射線の口腔の副作用で最も重大なものは口内炎です。抗がん剤治療による口内炎と比べて重症で長引く傾向があります。放射線治療が始まり1~2週間くらいで口の粘膜はだんだんと赤み帯びて、腫れぼったくなり、ひりひりとした軽い痛みを感じるようになります。その後治療が進むにつれて粘膜炎は強くなり、強い痛みが続き、重症の場合は水を飲むことも辛くなります。放射線治療が終わると通常は3~4週間ぐらいかけて少しづつ粘膜は元に戻ってきます。しかしその途中で傷に感染を起こしたりすると、治りが遅くなることもあります。放射線による口内炎は、治療を最後までやり遂げることを邪魔する、大きな合併症です。口のケアによって症状を緩和し、二次的な感染のリスクを抑えます。 また放射線によって唾液の量は減り、ネバネバになります。この影響は年単位で長く続き、完全には回復しません。唾液が少ないと、口の中がガサガサと不快になり、食事の味も感じづらくなります。また汚れがこびりつき、口の細菌が増えやすくなるため、感染を起こしやすくなり、非常にむし歯ができやすくなります。そのため放射線の治療が終わったあと、急にむし歯だらけになってしまう(放射線性う蝕と言います)ということもあります。 そして最も重症な副作用が、放射線による顎骨の壊死(顎の骨が腐る)です。放射線が当たった顎の骨は、ちょっとしたことがきっかけで感染を起こし、壊死を起こすことがあります。最も多いきっかけは抜歯です。放射線治療が終わって何年か経過すれば安全に抜歯できるだろう、と思われがちなのですが、実際は放射線治療後何年経っても、顎骨壊死の危険性はほとんど変わらない、と言われています。放射線治療が終わった後も、抜歯をしなくて済むように定期的に歯科で口のチェックやケアを受け続ける必要があります。

がん治療をのりこえるために③

がんの手術を安全に乗り越えるため、手術前に口のケア受けることの有用性も注目されています。がんに限らず、全身麻酔で手術を受ける患者さんは、人工呼吸器のチューブが口から喉を通して気管の中に挿入されます(気管内挿管といいます)。この際、気管のチューブを通して肺に入り込んだ口の細菌が、術後肺炎の原因となることがあります。 また、チューブを気管に入れる時に、歯を痛めてしまい抜けてしまうこともあり、手術後の食事開始の妨げになることもあります。手術を受ける前にあらかじめ口のケアを行うことで術後の肺炎を予防し、歯を守り、手術後の食事開始を助けることで、回復を早める手助けとします。 また口や喉のがん、食道のがんなどでは、手術前に口のケアを行い細菌を減らしておくことによって、手術後の傷の感染や肺炎などの合併症を減らすことができた、というがん治療の成果そのものへの貢献も証明されつつあります。 手術を行う前に口腔のケアを取り組みが、全国様々な施設で広がっています。 長く大変ながんの治療中は「食べる」ことが患者さんにとって、とても大変な作業になることがあります。健康な口でしっかり食べられることは、体力を維持し、つらい治療を乗り切るために、とても大事です。 そしてがん患者さんの口の健康状態は、口の副作用の発生や重症度に関連します。口を清潔で健康な状態に維持することは、がん治療のあらゆる段階で重要です。 是非がん治療開始の「前」に歯科を受診して、口の中を安定させてからがん治療に臨んでください(もっと言えば、がんになってからではなく、日頃からかかりつけ歯科をつくり、口の定期ケアを受けていただければと思います)。 そしてがん治療中に口の副作用が出た場合は、我慢をせずがんの主治医と相談して、歯科を受診してください。がん治療中だからと歯科を敬遠するのではなく、がん治療中だからこそ、歯科で口の中をしっかりと管理しなければなりません。がんの治療を安全に、苦痛少なく乗り越えるためには「口から自然な形で、おいしく食事が食べられること」が、大きな鍵の一つなのです。

歯と認知症の発症リスクについて

愛知県知多半島の65歳以上の住民を3~4年間追跡した研究において、 歯が多く残っている人や、歯が少なくても義歯等を入れている人では、 歯が少ない人また義歯を入れていない人と比較して、年齢、治療中の病気や生活習慣などの影響を取り除いても、 その後に認知症発症や転倒する危険性が低いということがわかってきています。 図4は、歯の状態や入れ歯の使用状態と認知症になっている人の割合を示しています。 これによると歯を失い、入れ歯を使用していない場合、 歯が20歯以上残っている人や歯がほとんどなくても入れ歯によりかみ合わせが回復している人と比較して、 認知症の発症リスクが最大1.9倍になるということを示しています。 (テーマパーク8020より引用) また、図5では、歯が19歯以下で入れ歯を使用していない人は、20歯以上保有している人と比較し、転倒するリスクが2.5倍になることが示されています。 (テーマパーク8020より引用)
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